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「全脳思考」についての思考

            神田昌典さんの「全脳思考」をBookOff($14)で手に入れた。アマゾンの評価では意外にも辛辣なコメントが多いのだが、個人的にはそれなりに学ぶべきものが多かったのでまとめてみることにした。 どの部分に共感できたかということを一言で表現すると「従来の経営戦略やそれに伴うマーケティング手法が通用しなくなってきている」ということである、これはある意味誰もが感じていることではないだろうか?問題は「じゃ、何をどうすればいいのか?・・・」という事である。大きな変化の直接的な要因としてはインターネットの普及が第一に考えられ、そのインターネットを味方につけてどう戦うのか、或いは生き残るのかは現代の経営に於いて「必須」のテーマであると言える。そこまでは誰でも解る。「ソーシャルメデイアの活用だ!」そこまではサルでも言えるかもしれない。 本書は2009年出版なので、話の随所に「検索」が出てくる。恐らく、2011出版ならば「ソーシャルメデイア」になっていたかもしれない。   商品流通戦略よりも情報流通戦略がカギになってきている(P125 )   さて、世の中がどう変わったのか?そしてその変化をどうビジネスの中に活用すべきかという点において神田氏が提唱するのが「営業せずとも顧客が集まる、五つの新原則」である。内容はこうだ。   営業せずとも顧客が集まる、五つの新原則 指名検索 知識社会において、購入を判断する真実の瞬間には「検索」がある。 検索を促すネーミング 収益をあげるためには、指名検索されるような事業でなければならない。そのためには記憶に残るネーミングが重要となる。 自己投影型消費を支える物語 ネーミングは、その背景にある物語を「答え」として引き出す「問い」である。 物語にスムーズに入り込める導線 会社や商品が持つ物語は、買い手が自己投影できる内容でなければならない。 サブエピソードを共有する場 企業は、自己投影した顧客がサブエピソードを共有する「場」を用意いなければならない。 指名検索 その「場」に繰り返し触れた新たな買い手は、購入に向けて機が熟したときには、衝動的に指名検索することになる。   従来から用いられているマーケティングの4P/4Cと合わせて考えると面白いものが見えてくるかも知れません。 Product(製品)⇔Consumer(消費者のニーズやウォンツ)あるいはCustomer solution(顧客ソリューション) Price(価格)⇔ Customer cost(顧客コスト) Place (流通)⇔ Convenience(利便性) Promotion(プロモーション) ⇔ Communication(コミュニケーション) 特に、Place(流通)は4Pが考案されたことろは全く状況が違い、それに応じてProduct(製品)も変えていかないといけないかも知れません。そのヒントが「自己投影型消費」と言えると思います。これはピンと来る人は少ないかも知れませんがここが結構深いところだと思います。   さて、この五つの原則が循環していく中で中核にあるものが「真空」であると著者はいいます。「?」ですね~。神田氏ぐらいのレベルであれば、あえて読者が解らないことを言い出すのもいいかもしれませんね。勿論、この真空を別の言葉「ストーリー・ストリーミング・コンセプト(SSC)=物語を溢れさせる中核的なメッセージ」と言っていますが、私はこれを「共感を呼ぶミッションステートメント」と解しました。つまり大義名分のある企業理念ですね。当然、そこにはなぜその理念に至ったのかという質問に答える共感出来る物語がなければなりません。 余談になりますが、真空とは東洋哲学的には「空」や「無」という概念かもしれません。数字で言えば「0ゼロ」これは何も無いということではなく組み合わせるものによって自由無碍に変化できる存在です。   事業に於ける経営理念の重要さは既に語りつくされていると言えるでしょう。しかしながら、この部分が一番難しいいと皆さんおっしゃいます。企業の存在意義をどこに置くべきかは実に深い課題ですね。   本書をもう少し読み込んでから続編を書きます。 (続く)