やめることは究極の成功法則か?

かの松下幸之助は「成功の秘訣は成功するまで続ける事」と言った。これは私の最も好きな言葉の一つであり、そういうつもりで日々頑張っている。

いわゆる成功哲学の本にはこの手の格言が多い、成功哲学愛好家?なら諦めずに粘り抜く事に重点を置く人も多いはずだ。しかしながら私はやめる事も時には大切だと思う気がするようになってきた。

経営には判断が付き物であるが、厄介な事に物事には相反する2つの側面があり、それが判断を難しいものにしている。つまり物事には物理的、科学的な側面と同時に、精神的あるいはスピリチュアルな面がある。言葉を変えれば唯物論的側面と唯心論的側面と呼んでもいいかもしれない。例えば目の前の問題を運命や前世のカルマなんかとごっちゃ混ぜにされるとまともな判断は出来なくなる。スピリチャルな価値観と試練や忍耐は非常に相性がいいので使い方を誤ると厄介だ。論理的な判断が出来なくなる恐れがある。

何かを始めるというのも経営判断であれば、何かをやめるのも重要な経営判断である。経営だけでなく、それが雇用関係であったり、見込み客への営業であったり、株の売買や次世代メデイアの規格争いだったり、はたまたイラク戦争だったりする。勝つ見込みが薄く、試練に耐える以外に良い方法がないなら早いうちに「やめる」と決めた方がいいもしれない。「やめる」ということは別の見込みがあるものに力を注ぐと言う事であり成功への大きなステップだ。

事業の場合だと例えば新聞業界など既に斜陽化が始まっている産業にどれだけ明るい未来を見ることが出来るであろうか?あきらめずにやれば状況は好転し発行部数は伸びるのか?もしかしたら奇跡が起こるかもしれないがどうやらその確率よりも倒産の確率の方が大きそうだ。新聞業界だけでなく自分自身の事業(我々の場合はWeb制作)に明るい未来はあるだろうか?このまま頑張り通せばもっと良くなるのだろうか?この辺りは冷静に吟味した方がいいかも知れない。変化の早い昨今に於いてはかなりの業種でそういった存在自体の危機があるのではないだろうか?百貨店業界もそういったヤバイ領域に入っているかもしれない。やめるタイミングを間違うと大きな損失に繋がる。これはプロジェクト単位でもいえることだと思う。泥沼プロジェクトはなるべく早めに切り上げた方がいい。会社に会わない人間はなるべく早く辞めてもらった方がいい。

GEのジャック・ウェルチは「業界のナンバーワンかナンバーツーになれなければ撤退する」という伝説を残し事業を立て直した。アメリカでは気の利いた企業は北米ナンバーワンなんか目指さない。目指すのは世界一だ。そこが強さの秘密かもしれない。

「長い目で見て大きな可能性があるなら、今のつらさに耐えかねて、ここであきらめてしまってはいけない」ただし、いつどのような状況になったらあきらめるべきかはあらかじめ紙に書いておこう。

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