外から見た近代文明

サモアの先住民の酋長が白人世界を批評した本「パパラギ」

「パパラギ」というのは、彼らの言葉で「空を破ってきた人」と言う意味で、宣教師を指します。宣教師は良かれと思ってサモアに近代文明を持ち込んだのですが、酋長は彼らが説く文明の問題点を鋭く指摘していて、それが非常に面白いのです。

酋長によると、宣教師が来る前は、時間はとても穏やかに流れていたといいます。所有という概念もないから、例えば海辺のヤシの木はみんなのヤシの木でした。おなかが空いたとき、食べたい人が食べればよかったのです。ところが、宣教師はすべてに「これは誰の所有物なのか」と聞きたがる。

「誰それの木」と決めてしまったら、いくらヤシのきがたわわに実をつけても、所有者以外はおなかが空いていても食べられなくなっしまいます。確かにそういう視点から見れば、何でも所有者を決める事の滑稽さがわかってきます。

私たちは物質社会や資本主義社会の中で生き、この文明はいいものだと信じきり、みじんも疑っていません。ちょうどサモアに文明を押し付けた宣教師のように、この価値観からなかなか抜けられないのです。

けれど、もし私たちの社会が本当に幸せなのだとしたら、これほど多くの自殺者が出るでしょうか。自殺者は近年どんどん増えていて、いまでは年三万人を超えています。

昔よりかくだんに裕福になったのに、自分の命を絶ってしまうくらい未来や夢を感じられない人が多いのは、いったいなぜでしょう。私たちは自ら、その理由を考えていくことが必要なのです。

イーグルに訊け インディアンに学ぶ人生哲学
天外 伺朗 より抜粋

  • 考えるのではなく、感じる事が大切
  • 他人の子は自分の子どもと同じ
  • バカになる時間の大切さ
  • 自己啓発セミナーがはやる理由
  • 知識は知恵には勝てない
  • 個人の成長によって社会は進化する
  • 私たちはどこに向かっているのか

物がたくさんなければ暮らしていけないのは心が貧しいからだ

返信する

コメント