フェイスブック上場とヤフーの終焉

今月上場が予定されているフェイスブック。その新規株式公開(IPO)に伴う調達額が最大で約135億8000万ドル(約1兆900億円)になることを明らかにした。米企業としては史上3番目の規模になる見通し。2004年にグーグルが上場した際の約17億ドルを軽く上回る。日本企業との比較ではNTTドコモやホンダなどを上回り、約11兆円のトヨタ自動車に次ぐ規模だ。

その影で苦しんでいるのが米ヤフーであろう。CEOの学歴詐称疑惑や共同創業者のジェリー・ヤン取締役が辞任するなど迷走が続いている。そして、つい先日アメリカ企業らしく、上場前で株価にキズがつくのを恐れるフェイスブックを特許侵害で訴えた。訴訟社会のアメリカでこういうことは日常茶飯事だが。それにしてもこういったあからさまなやり方に批判が集まっている。これを「パテント・トロール」とか「パテント・マフィア」と呼ぶが、言い掛かりをつけて金品を巻き上げようとする恐喝ヤクザとさして変わりはないであろう。

個人的にはヤフーはインターネットをはじめたときに存在していた最初のWebサイトであり、まさにインターネットの中心であった。そのヤフーの落ちぶれた姿を見るのは非常に残念でならない。

そもそも、インターネットは非常にオープンなものであり、ヤフー自体も創業以来多くの技術やアイデアを他のサイトからパクっているはずだ。パクッたという言い方が悪ければ、「他サイトの素晴らしい部分から多くを学び、それを自社サイトにも活用させてもらた」と言えばいいだろうか。そんなことは世の中のあらゆるビジネスで行われている。ヤフーが苦労を重ね独自に開発した「知的財産」なんてそもそも存在するのだろうか?そんな素晴らしい特許技術が存在するとしたらヤフーはもっとそれを有効活用してビジネスを伸ばせていたはずである。

対する、フェイスブックはヤフーを逆訴訟で応酬にでた、このフェイスブックの逆訴訟はいい動きだと思う。間違っても金を払って和解(妥協)という手段はとってほしくはない。さて、今回の「特許侵害」合戦で儲かるのは弁護士だけだろう。特許に関する弁護士費用は普通の弁護士に比べて格段に高く、アメリカの法制度が弁護士の利益を追求するため存在するならともかく、社会の正義やイノベーションを支えるために存在しているのならば、法制度のあり方にもメスを入れるべきである。100年以上も前に作られた枠組みでは社会のお荷物になりかねない。

ソフトウエア開発者が他社の保有する特許技術に触れずにソフトウエアやサービスを開発することはほぼ不可能である。そのことから、「特許権は主に自己防衛に使用する」との不文律がWeb業界にはあるが、追い詰められたヤフーがその掟を破って自己利益の追求に走ってきたところにヤフーの終焉を感じる。老舗インターネット企業として晩節を汚すのではなく、かってのリーダーとして尊敬されるような事業を展開してもらいたいものである。

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