”モノではなく真心を売る”_はせがわ会長 長谷川裕一氏 

「おててのしわを合わせてしあわせ」のCMでおなじみの仏具店「はせがわ」。福岡の炭鉱町の仏具専門店の後を継いだ会長・長谷川裕一氏が一代で築き上げた年商200億円を越す供養ビジネス業界で圧倒的No.1の企業です。

「常に変革し続ける。脱皮することが出来なければ滅びるのみ。」

伝統的で保守的であった仏壇業界に彼は2つの大きな変化をもたらしました。

・自社での大量生産で仏壇の価格を下げる
かつての仏壇は設計図もなく、長年培った職人技でのみ作れるものであったため、価格を安くすることには無理がありました。そこで、 長谷川氏は自ら高額な仏壇を購入し、全て分解をして誰でも作ることができるよう設計図を作り上げ、量産できる体制を整えました。このことにより、 1台数百万は当たり前であった仏壇の価格を一般家庭でも購入可能な金額にまで下げることに成功しました。

・これまで個人事業が常識だった仏壇業界で全国チェーンを展開
大量生産が可能になったこともあり、東京をはじめ全国に店舗を増やし、薄れ行く供養文化の普及に貢献しています。

「モノではなく真心を売る」

はせがわでの店頭平均接客時間はなんと2時間! そのほとんどの時間はお客様の話をじっくり聞く時間だといいます。仏壇を売り込むのではなく、お客様の話に親身に耳を傾け、アドバイスをさしあげる、そうすることで信頼を得ることができ、結果として売上に繋がっているという方程式です。

はせがわの接客姿勢の原点となったのが、昭和38年に福岡で起きた戦後最大の炭鉱事故、三井三池炭鉱爆発事故での出来事です。当時、実家の仏具店の跡を継いだばかりであった長谷川氏はすぐさま事故現場へ向かい、惨劇を目の当たりにします。そして当時同じ業界の誰もが暗黙の了解で行っていなかった行動にでました。人の不幸を商売の種にすると非難を浴びることも多い中、長谷川氏は事故遺族の元を一軒一軒訪ね、「仏壇が残された家族の心の支えになる」との信念から切々と仏壇の意味を語りかけ、仏壇を売り歩いたのです。長谷川氏のその真摯な姿勢と真心のこもった対応から、仏壇を購入してくれる遺族も多くいたといいます。

そのときの経験から、庶民向きではない仏壇価格とそれをよしとする職人任せの生産工程に疑問を抱き、今日のはせがわの体制につながっています。また、 長谷川氏自らが学んだ「モノではなく真心を売る」という接客ポリシーは、はせがわの全社員に浸透しています。

 

「お客様が対価を払いたいと思うからこそ、お役に立てる。利益が生まれる。」

何百人と言う成功者を見てきたカンブリア宮殿の番組ホスト・村上龍氏が思う最大の疑問。「なぜ利益を優先しない人が儲かるのか?」

この問いに 長谷川氏はあっさりとこのように答えていました。もちろん、会社存続と繁栄には利益は必要不可欠ですが、利益の追求が最優先となってしまうと、独りよがりになり、結果としてお客様が見えていないということになります。お客様を省みないビジネスはビジネスとして成り立ちません。お客様と同じ目線に立ち、お客様の心に、ニーズに近づけて初めて、お客様がほしいと思う商品、サービスを生み出せ、結果的に利益を得ることができる。

この番組を通して、大成功を収めている大企業のトップこそ、謙虚な人が多いことに驚きます。永く愛される企業は、従業員やお客様、社会への貢献という使命感をもって謙虚に、地道に歩んでいってこそ今の成功(=継続して利益を生み出し続けている)があるのだと感じました。

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