上質な物を低価格で 「鎌倉シャツ」ニューヨーク出店

ニューヨークに今月末いよいよオープン予定の「メーカズシャツ鎌倉㈱」(通称:鎌倉シャツ)の代表取締役社長・貞末民子さんの講演会が10月19日(金)行われました。ということで、創業当時、夫53際・妻45歳の夫婦が始めたこの鎌倉シャツについて、カンブリア宮殿「メーカーズシャツ鎌倉 会長 貞末良雄」の回とあわせてご紹介します。

メーカーズシャツ鎌倉
http://www.shirt.co.jp/

1993年 の創業以来、東京を中心に日本全国で22店舗(2012年10月現在)を展開。第一号店を鎌倉にあるファミリーマートの2階からスタートし、今年で20年目を迎える。生地から縫製にいたるまで、高級シャツの質にこだわりながら、徹底した流通システムの見直しと中間コストの削減により、大半のシャツを4,900円(税別)均一で販売している。※NY店では$79均一の予定。

【貞末良雄会長の金言】

●客が納得する値付けが 経営の技
「自分が着たいと思う質のシャツ(15,000円)を自分が買いたいと思う価格(5,000円)で売りたい」そんな思いからこの鎌倉シャツを立ち上げた良雄会長。 鎌倉シャツは巻き伏せ縫いや天然貝ボタンといった通常高価なシャツがもつこだわりの特徴をもちながら、一般のサラリーマンのお財布に優しい4,900円(税別)という手軽さから、日本のビジネスマンに強く支持されています。

●『値段で勝負』は 最終手段
最近ではユニクロやH&Mといったファストファッションの台頭や、一般のアパレルメーカーでもシーズン毎の大セールは当たり前となっていて、良雄会長曰く、「アパレル業界は価格にルーズ」になっているといいます。確かに、私自身一消費者として「いずれセールになるからその時まで待つか」といった考えが頭を過ることが多々あります。しかし、鎌倉シャツでは、例え社員に対してでも「割引・セール」は一切行わないというから、徹底しています。 自社の商品に対するそれだけ強い思い入れがあることは勿論ですが、そもそも、「売れる物を売り切る分だけ少量生産する」という商品戦略をとっているため、セールする在庫を持たないそうです。毎週数種類の新商品を登場させるそのスピードと価格キープの秘密は、商社を省いた工場から鎌倉シャツへの直販システムにあるようです。

●“信念”で売るのが商人道
「今のアパレル業界は売れるものを作っているだけで、思想がなくなっている。」一世風靡し、貞末夫妻自らも勤めていたヴァンヂャケットの創業者・石津謙介氏から受けたこの言葉が、貞末良雄氏の企業の原点であったといいます。一時的な”流行”ではなく、”愛され続ける商品”を生み出していき、お客様からロイヤリティを感じる企業となっていく。その思いが商品へのこだわりに反映されています。

【貞末流”起業”の3条件】
1.自分が欲しい物
2.市場にはあるが高価な物
3.売れ続ける物

強いこだわりと信念のある良雄会長と「鎌倉シャツ」の成功には、二人三脚で創業以来20年間共に歩んできた妻・民子社長の存在が大きな支えとなっているのではないかと、今回ニューヨークで直接お会いして感じました。まず驚いたことは、「専業主婦からの転身」という言葉から想像する以上に、和やかなその人柄でした。「難しいことは何も分からないのです」と民子社長。しかし、その姿にはかつて人気情報誌Hanakoに自分で投稿した記事が偶然にも記者の目に止まり、鎌倉特集で取り上げられたという幸運を引き寄せるような、不思議な魅力と人柄が表れていました。そして、鎌倉シャツの商品にも、専業主婦ならではの消費者視点がとことん活かされているからこそ、愛され続けることができるのだと思います。「自分が買いたいと思うような良い商品、こだわりのある本物の商品を作りたい」という夫の情熱とビジネスセンス、そして「優れた商品を世に広める為にはどうしたら良いかしら」と考える妻の知恵と運命を見方につける強運、これらのバランスあってこそ、今の鎌倉シャツがあるのだと思います。まさに「夫婦二人三脚」です。
実際にニューヨーク支店が出店するMadison 街(47番と48番ストリートの間)を見に行ってみました。このあたりは、 Brooks BrothersやPaul Stuartといった老舗アパレルメーカーが並んでいます。想像よりこじんまりした印象です。

しかし、東京の丸ビルでは、ユナイテッドアローズやシップスといった大手アパレルメーカーが広い売り場面積を占める中で、非常に小さな店舗でありながら、店舗面積あたりの売上高No.1を誇ったという実力。NYでも健在となるか、10月30日(火)のオープンに期待します。

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