孫正義「eコマース革命宣言」を読み解く

http://recommend.yahoo.co.jp/ec/

人類歴史の話から始まり、「これまでヤフージャパンは間違っていた」と逆説的に仰った孫正義社長のプレゼン。オチがどう出るのかと興味深く拝見させて頂いきました。

インターネットは本来どうあるべきか?「摩擦係数ゼロ」がテーマ、そして2つの施策。

施策1:無料「全部タダ」

「Yahoo!ショッピング」のストア出店料(初期費用2万1000円、月額費用2万5000円)と売り上げロイヤルティ(売り上げの1.7~6.0%)は、今月から完全無料化。

施策2:自由「ヤフージャパンは囲い込みをやらない」

「ヤフーは間違っていた。Yahoo!JAPANはさまざまな囲い込みをしようという小さな、いじけた心を持っていたが、そういうものは全部忘れる」

水泳を喩えにした「もがくからいけない」という発想。まるでマナ板に乗った鯉をイメージします。

目標:商品数No.1. と国内EC流通総額No.1

革命とは何か?

革命=主役の交代→売り手ファースト。これは正論であるが当然、楽天とアマゾンは意識していると思う。

さて、さて、

ビジネスモデルとしてのオチがどこなのか?この部分を示唆するスライドがここだろうと思います。

物流、決済、ポイント、アフリエイトの「側面支援」。そして広告モデルに軸足を移していくということは想像に難くないでしょう。

つい先日、ブックオフ創業者、現在大繁盛店『俺のフレンチ』『俺のイタリアン』『俺の割烹』などを次々と打ち出しておられる、俺の株式会社坂本社長の講演会を手伝わせて頂きましたが、俺のシリーズは原価率65%でも利益が出るのは、その回転率とお酒にあるとのお話でした。ものによると原価率300%のものもあると仰っていたので、メインデイッシュでは金を稼がず、その他サイドのもので稼ぐというビジネスモデルです。

孫社長は携帯ビジネスをやっておられるので、既に端末本体は無料、月額の契約費用で稼ぐということをやっておられるので、「全部タダ」という発想はチョイスとしては以前からお持ちだったと思う。そうすることによっての出店数拡大と側面支援ビジネスを成り立たせる。ついでに競合他社のビジネスモデルにダメージを与えることは、意図していないにせよ攻撃力を持つと思う。「価格」という消費者が一番判断基準にし易いところを抑えたランチェスターの弱者戦略ですね。

さて、楽天の三木谷社長はどう出てくるでしょうか?「楽天も全部無料」はありでしょうか?やらなければ顧客の流出は避けられないでしょう。流失が始まれば株価が急落し、業績の下方修正を余儀なくされ、その結果更に株価が下がるという負のスパイラルに入ることも考えられます。ヤフーによる楽天買収も無きにしも非ずです。アマゾンの動きも気になるところですが、ジェフ・ベゾスにとって日本は主戦場ではないと思うので、思い切った手は打ち出さないと思います。eBayのときはあっさりと日本から撤退していますので、泥試合は避けるのではないかと思います。

これがドラマであれば、ヤフーと楽天がM&Aでタッグを組んで、ハゲタカ?アマゾンと戦うというストーリー展開も面白いかもしれません。

最後にこの「全部無料」ビジネスモデルを我々自身も選択肢に入れておくべきかもしれません。今、主な収入源になっているサービスや商品をタダで配ったらどうなるのか?弊社の場合、Webサイトの構築をタダでやる。その代わりに月々のHosting費用やマーケティングのサポートは有償でやらせてくださいという感じです。もうすでにそんなビジネスモデルの業者はいますので今更そんなことをやってもインパクトは薄いように思いますが時間を取って考えてみる価値はあるでしょう。

孫社長の仰っていたように「インターネットは本来どうあるべきか?」ということを軸に、自社のサービスはお客様にとってどうあるべきが理想的な姿なのか?その辺りから掘り下げていけば、駆け引きではなく、顧客を味方につけるようなビジネスモデルを生み出せるかもしれません。

 

返信する

コメント