地道な努力は報われる_星野リゾート社長 星野佳路氏

軽井沢・星野リゾート。全国平均を遥かに上回る客室平均稼働率81%を誇るこのリゾート施設を経営するのが、今回ご紹介する星野佳路氏です。
2泊で5万円~と価格はお手頃とは言いがたいですが、リピーター率21%、中には48回の常連客もいるというから驚異的です。「星野リゾートに宿泊することが一年に一度の楽しみ。」そんなお客様を獲得したいという星野氏の試みは思惑通り大成功と言えるでしょう。

不景気の波を真先に受ける観光産業にありながら、なぜ星野リゾートは順調に顧客獲得・売上アップを図れているのか。その秘密は、徹底した「顧客満足度」の追求にあります。

星野氏が考える「顧客」満足は一味違います。
まずは「自社としてどのようなリゾート施設を創りたいのか」。そこが起点となります。
そして自社の求める姿の範囲の中で、お客様の満足度を最大限高めていくという発想でサービスを展開しているため、広く浅く集客する同業他社とは明らかな違い、ぶれない芯があります。

顧客満足度を上げるために同社が実践していること。
いずれも特別なことではなく、一般的なことを、どこよりも徹底して行っていく地道な努力の積み重ねです。

1)顧客データの収集・活用
「このお客様は毎回お味噌汁をおかわりする」、「ワインがすきだ」といった接客を通して知りえたちょとした「気づき」を社内で共有していく。
データ管理により「気づき」を見える化することによって、これまで長年の経験で女将さんが担ってきた気配りを、個人のスキル・知識に依存することなく、従業員全員が実践できる仕組みをつくっています。

クオリティの均一性、スキル・知識の伝承、後継者・人材の育成といった課題はどのような産業の企業であれ共通していることでしょう。その問題を解決する方法の1つに、誰もが同じクオリティを出せるよう、社内で情報・スキル・知識の共有を図り仕組み化することが挙げられます。同社のこの取り組みはぜひ真似したい点です。

2)従業員に裁量権を与える
お客様に満足を届けるという範囲において、 社員に自由な提案を進めている同社。ある程度自由な裁量権があるからこそ、決まり一辺倒のマニュアルでは賄えないお客様一人ひとりにのニーズに応じた細かい気配りとサービスができます。”社員に裁量権を与える”という方針は、リッツカールトンホテルでも実施されていました。

3)お客様の声を聞く
自社のサービスの現状を客観的に判断し、改善していく指標としてある「お客様アンケート」をとても細かくとり、満点を目指して日々の業務に取り組んでいます。

リゾート業を「非日常的空間を提供する」ビジネスと捉えることで、宿泊施設の枠に囚われることなく提供できるサービスの幅と深みが増し、社員の行動に落とし込まれていると感じました。

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